2005年7月11日

ドイツで地下鉄やバスに乗ると、ドイツ人の身なりがここ15年間で、ずいぶん貧相になったことを感じます。元々ドイツ人は服装にはお金をかけない民族ですが、最近の景気停滞でその傾向がますます強まったようです。イタリアに行きますと、小さな町でも、はっとするほどお洒落をしている人を見かけることがよくありますが、ドイツではそういうことは滅多にありません。イタリアでは夕方にちょっと買い物に出る時でも、おめかしをしている人がいるのです。

それにひきかえ、わがミュンヘンではジャージ姿で歩いたり、会社に行くにもスニーカーを履いたりしている人が益々増えてきました。これでは、ブティックや洋服店が倒産するのも無理はありません。

また、ドイツ人は食事にも日本人ほどお金をかけません。食文化の水準が高い日本からドイツに来ると、ほんとうに食事への執着がない民族だなあと思います。外食しようと思っても、良い店がなくて苦労します。ドイツ人が「この店は美味しいから行ってごらん」と言われても、あまり信用しない方が無難です。舌の感覚が違うのですから。アルプスを越えて、イタリアへ行くと、食文化へのこだわりの強さを感じます。ドイツ語ではなくて、イタリア語を勉強すればよかったと時々真剣に思うことがあります。

ただ、ミュンヘンでほっとするのは、週末に緑の中でジョギングをする時です。自然の美しさと町のたたずまいは、ドイツの町の重要な財産です。日本と違って歩道と車道がきちんと分かれており、見通しも聞くので、走りやすいのは有難いことです。ニュンフェンブルグ城の水路に映る緑を見ながら走る気分は、格別です。これは、お金で買えるものではありませんが、都市生活者にとっては、一種の贅沢であるという気がいたします。